脂質代謝改善作用をもつ機能性素材開発
プラズマローゲンはリン脂質の一種で、リポ蛋白質中の生理的な抗酸化因子であり、動脈硬化症やアルツハイマー病と深く関わっていると考えられている。
本研究テーマでは、プラズマローゲンのバイオマーカーとしての意義を確立し、プラズマローゲン、さらにはその酸化物を臨床的に測定できるキットを開発する。一方で、農畜産物、海産物、微生物素材由来のプラズマローゲン高含有リン脂質抽出物を用いたサプリメント、あるいは内因性プラズマローゲン合成を誘導する超長鎖モノエン酸やmyo-イノシトールを用いた機能性食品を開発する。また本課題で見いだされた知見・知財に基づき、生活習慣病予防素材評価システムを構築する。そこに臨床医、基礎科学者、臨床検査やデータ解析のエキスパートが参画することにより、他に類を見ない脂質系バイオマーカー評価拠点を形成する。さらに食品や医薬品企業の参画を得た上で、メタボリック症候群や生活習慣病の原因となる脂質代謝異常やインスリン感受性低下、酸化傷害の改善に有効な生理作用の評価に基づき。新たな食品素材や医薬品を実用化していく。
本研究テーマの目標を達成させるために3つのサブテーマを設けて研究を進めている。
サブテーマ1:プラズマローゲンの臨床的意義の確立とそれらを基盤とした抗動脈硬化食品の実用化
サブテーマ2:過酸化脂質の網羅的解析法と抗動脈硬化・抗老化検査法の開発
サブテーマ3:ニュートリゲノミクス解析に基づく機能性評価法の開発と食品素材探索
研究テーマ代表者:北海道大学大学院農学研究院
教授 原 博 (Hiroshi HARA, Ph.D.)
参考
Bio-S パンフレット2009 P51【PDF 1.1MB】