糖質代謝改善作用をもつ機能性素材開発
本研究テーマは、難培養性であり未知酵素が存在する可能性が高いルーメン細菌を遺伝資源として着目し、機能性食品素材の開発を目的とした新規有用酵素の探索および、付加価値の高い糖質の開発とその実用化を命題に据えている。
これまでの研究で明らかにしたセロビオース2-エピメラーゼは、セロビオースをグルコシルマンノースに変換する酵素として同定された。本酵素は、天然糖として豊富なセロビオースやラクトースから β-結合マンノース含有希少オリゴ糖の合成を可能にする。これら希少オリゴ糖の新規な構造から鑑み、低カロリー性、整腸作用のほかに、加齢により低下する腸管バリア機能強化などによる感染防御や炎症性疾患予防など、これまでにない生理作用が期待され、健康食品・医薬品へ応用できる。特に、当該酵素によりラクトースから生産されるエピラクトースは、原材料の有効利用とその高い機能性の両面から実用化が期待される。
この実用化に向けて、これらの希少オリゴ糖の生理機能の詳細な解析と安価な工業生産を目指している。
研究テーマ代表者:北海道大学大学院農学研究院
教授 松井 博和 (Hirokazu MATSUI, Ph.D.)
参考
Bio-S パンフレット2009 P049【PDF 1.1MB】