山田 幸司 × 北海道システム・サイエンス株式会社
研究テーマ:汎用的バイオ応用を目指した蛍光ポリマー粒子プローブの創製
核酸医薬分野での共同研究で事業化を目指す
当社はもともとDNAやRNA合成や遺伝子解析などを始めとし、大学等の研究機関をメインにトータルソリューションを受託事業として展開しています。Bio-Sでは、北海道大学の山田幸司先生との共同研究で、核酸医薬におけるマーカーの開発を目指しています。当社は核酸医薬の分野で、がん等のいろいろな遺伝子の働きを抑制するRNA及び、ドラッグデリバリーシステム(DDS)の研究を支援しています。例えば肝臓をターゲットに点滴や注射などで投薬した後、目的の医薬が途中で分解、代謝、排泄の影響を受けない様に患部に届くまで保護するという役割を担っているリポソームを、各大学、研究所等と共同プロジェクトにて供給および支援しているのです。しかしこれら実際に投薬したものが、どういうタイミングでどのくらいの量が入ってどのくらい量が効いているのかという細かいところまで評価できないのが現状です。私たちはこれを解明するツールを開発して事業化することを目指しています。
特徴的な蛍光色素に大きな期待
これまでも、核酸にいろんな蛍光色素を付けて研究されているのは確かですが、山田先生が開発した環境応答型蛍光色素は特異的でした。紫外線を当てなくても見えるので物質に及ぼすストレスがない為に正確なデーターが採れること、更には退色しないことが大きなメリットです。また、環境に応じて色が変わるので、血中と細胞の中で色が変われば、目的までの到達度が追求できます。これまでの研究で、核酸(DNA)に色素を付加させるところまでたどりつきました。今後核酸RNA及びリポソームへの付加が確立されれば、投与量に対する効果等がより明らかになり、研究開発の効率化・費用の削減、更には適正な投薬量の同定など医療費の削減に繋がると確信しています。また、マーカーや試薬としてのビジネスの可能性も大きく広がります。
食の関心への高まりはチャンス。健康科学産業の地・北海道へ
当社の事業の柱となる遺伝子解析は、これまで大学等の研究機関が主な顧客でした。しかし、近年、食への関心が高まってきた事から、食品の遺伝子解析も事業化し、加工業者や小売関係の民間企業までお客様が広がりつつあります。さらに、当社の事業エリアは日本全国や、一部海外にまで広がっており、Bio-Sへの事業への参画とちょうどリンクしています。北海道は、日本の食糧基地ともいわれる程、食糧自給率も高く、寒暖の差があり機能性の部材がたくさんある地域。我が社は北海道という冠をつけている会社だからこそ、全国へ出た時に会社の存在、座標軸が伝わるということはとても大きいのです。その点でも、この北海道が健康科学産業の基地であるという印象がもっと世の中に広がる事はとても重要で、この事業に参画している事に大きな意義を感じています。
取材先:北海道システム・サイエンス株式会社